最終更新日時 : 2006/03/19 (Sun) 00:00:00

VAIO type T に Fedora Core 4 を入れてみた

本ページ内における各種表記は 2006 年 3 月現在のものです。

警告 : 下記の内容は、コンピュータに悪影響を与える可能性がある操作を含みます。 これらの操作を行った結果として生じる事象について、筆者は一切の責任を負いません。

このたび購入した VAIO type T (VGN-TX91PS) は、自宅内モバイル (爆) の他に大学の研究作業のサポート役も見越して導入したものである。 そこで、大学の研究においてほぼ必須と言える Linux (Fedora Core 4) を導入する事とした。 下記の内容はその備忘録である。

インストール前の準備

リカバリディスクの作成

絶対にリカバリディスクを作成しておくこと !!!

本機は Disk to Disk (D2D) リカバリを採用しているため、リカバリディスクを添付しない状態で販売されています。 Linux (プリインストール以外の OS なら何でも) のインストールの際に誤ってリカバリ領域を削除してしまうと、 コンピュータを購入時の状態にリカバリする事が不可能になります。 この状態でリカバリするためには別途リカバリディスクをソニーから有償で入手する必要があるようです (正規ユーザ登録している人が対象、つまり本体を中古購入した場合は入手出来ないとのこと)。

以上の理由により、事前のリカバリディスクの作成を忘れないようにしましょう。

ちなみに僕の type T は DVD-ROM / CD-RW モデルなのですが、リカバリ CD は計 9 枚になりました。 枚数が多いですが、万が一 D2D リカバリ出来ない時にのみ必要なものなのであまり気にしない方向で。

D: ドライブを削って空き容量確保

さて、次に Linux を入れるための空き領域を確保します。 HDD 80GB の type T は、先頭から順にリカバリ領域 約 5GBC: 約 20GBD: 約 50GB となっています。 どのように切ってもいいのですが、今回は D: を一旦開放して 30GB 程度で再構築し空き容量を 20GB 程度確保することにします。 Partition Magic や GNU Parted などのパーティション編集ソフトを使ってもいいのですが、 バックアップすべき D: のデータ量もそれほど多くなかったので古典的な方法を用いました。

まず、D: の中身を退避します。 んでもって管理ツールの 「ディスクの管理」 で D: を削除、続いて D: を 30GB 程度確保と。単純ですな。 とりあえず空き容量 20GB はそのまま放っておきます。

Linux のインストール開始

いよいよインストール開始。 ディスクイメージを落としてきて焼いたものなり、雑誌などの付録に付いてたものなりで Fedora Core 4 のインストールディスクを用意します。 ディスク 1 を DVD ドライブに入れて再起動。 BIOS の設定で光学ドライブの起動順が HDD よりも上位になっている事を予め確認しておきましょう。

特に何もしなくても光学ドライブからインストーラ起動するので (この辺が 2 スピ機の楽なところですね)、 普通に GUI でのインストールを続行。

インストールタイプは依存関係の問題が生じるのが嫌なので 「カスタム」 にして、 アプリケーションの選択画面で 「すべて」 を選ぶ。単純なインストールだけで 7GB は必要。 アップデート時の一時領域を考慮するとトータル 10GB 以上は Fedora に割り当てないと怖いだろうなぁ。

パーティション
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ちなみにパーティションはこんな風に切りました。 4GB 程度は空きのまま残しておく事に。Linux と Windows のデータ交換用に FAT32 な領域にするもよし、 さらに別の OS を放り込んでトリプルブートにするもよし。

LVM は今回は利点がよくわからない上にパーティション操作が繁雑になる気がするので、とりあえず使わないことに。 てゆーか実は LVM 自体良く分かっていない (ぉ

なお、スワップ領域が物理メモリより小さいとの旨の警告が出るが無視します。 どうせ 1GB 使い果たすことなんかそうそうないだろうし (Windows XP の方では仮想メモリ切ってるくらいで…)。

ブートローダの設定
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次に注意すべき点。ブートローダの設定画面で 「高度なブートローダオプションの設定 (O)」 にチェックし、次ページでブートローダのインストール先を 「/dev/hda? ブートパーティションの最初のセクタ」 にすること。 これで MBR に入っている ntldr を壊さずに済むので D2D リカバリにも支障が出ないはずです。

なお、後で説明するように GRUB 経由で起動するのは Fedora Core だけですので、 GRUB 使用時のデフォルトの起動 OS は Fedora Core のままでいいでしょう。

あとはパーティションのフォーマットやらファイルのコピーやらが始まり、 何回かディスク入れ替えてるとインストールが完了。再起動します。

ntldr の設定変更

再起動すると、MBR が元のままなので普通に Windows XP が立ち上がります。 ntldr を用いてデュアルブートできるように設定を変更します。

BootPart というツールがあるのでこれを落とし、 解凍したファイルのあるディレクトリにパスを通します。 あとは bootpart.txt の Example: に書いてあるとおり、 コマンドラインで bootpart.exe をオプション無しで叩くと

C:\>bootpart.exe
Boot Partition 2.60 for WinNT/2K/XP (c)1995-2005 G. Vollant (****@********.***)
WEB : http://www.winimage.com and http://www.winimage.com/bootpart.htm
Add partition in the Windows NT/2000/XP Multi-boot loader
Run "bootpart.exe /?" for more information

Physical number of disk 0 : *******
 0 : C:  type=12 , size= 4883728 KB, Lba Pos=63
 1 : C:* type=7  (HPFS/NTFS), size= 19535040 KB, Lba Pos=9767520
 2 : C:  type=f  (Win95 XInt 13 extended), size= 53729392 KB, Lba Pos=48837600
 3 : C:  type=7   (HPFS/NTFS), size= 33037641 KB, Lba Pos=48837663
 4 : C:  type=5   (Extended), size= 192780 KB, Lba Pos=114912945
 5 : C:  type=83    (Linux native), size= 192748 KB, Lba Pos=114913008
 6 : C:  type=5    (Extended), size= 15727635 KB, Lba Pos=115298505
 7 : C:  type=83     (Linux native), size= 15727603 KB, Lba Pos=115298568
 8 : C:  type=5     (Extended), size= 522112 KB, Lba Pos=146753775
 9 : C:  type=82      (Linux swap), size= 522081 KB, Lba Pos=146753838

といった感じにパーティション情報が出ます (上記は一部の情報を伏せています)。

起動したいパーティションは一つ目の Linux native ですので、パーティション番号 5 を指定して再度実行します。

C:\>bootpart.exe 5 c:\bootfile.pbr "Fedora Core"
(中略)
Writing a boot sector using LBA position 114913008 (0x6d96ef0)
c:\bootfile.pbr written
C:\BOOT.INI updated

これで、パーティション番号 5 のパーティションブートレコードが c:\bootfile.pbr に書き出され、 C:\BOOT.INI に起動時の選択肢としてがラベル "Fedora Core" で書き込まれました。 今後は再起動すると、Windows XP と Fedora Core のどちらを起動するか尋ねるブートメニューが表示されるようになります。

Fedora Core の設定の続き

さて、ここで実際に Windows を終了、再起動してみます。 ブートメニューで Fedora Core を選ぶと、次に GRUB のブートメニューが表示されます。 数秒経つと Fedora Core が起動するはずです。

インストール作業最終段階の設定が始まりますので、適宜設定を進めていきます。

ディスプレイの解像度は本当は 1366×768 ですが、標準的なモニタサイズではないのでとりあえず 1024×768 にしておきます。

液晶解像度の設定

このままだと画面左右にデッドスペースが出来てしまい (ワイドテレビに 4:3 の放送をアスペクト比保持で映したような感じ)、 勿体無いので 1366×768 フルに使えるように設定します。 具体的には、/etc/X11/xorg.conf のモードライン設定をテキストエディタで書き換えます。

The XFree86 Modeline Generator によりモードラインを計算できます。 とりあえず Visible Resoltion1366 x 768 pixels を、Refresh Rate60 Hz を指定して Calcurate Modeline をクリックすると

Modeline "1360x768@60" 84.50 1360 1392 1712 1744 768 783 791 807

こんなのが出ます。XFree86 には 「横方向解像度が 8 の倍数でなければならない」 という制約があるようなのですが、「んなこと言われたって TX 系 type T の横方向解像度は 8 の倍数じゃないんだもん、 無理矢理 1366 にしちゃうもん」 ということで、

Modeline "1366x768" 84.50 1366 1392 1712 1744 768 783 791 807

と指定してみます。これで再起動すると 1368×768 になってます…ってやっぱり 8 の倍数に丸められてるやん。マウスカーソルを画面端まで持っていくと微妙に仮想スクロール状態になってるのが分かる…。 まぁ、ログイン後の解像度は [デスクトップ] - [個人設定] - [画面の解像度] で 1366×768 に設定できるんでよしって事にするか。どうせ起動シーケンスからログイン画面までの辛抱だし。

スクリーンショット
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というわけで、16:9 のワイドスクリーンぴったりに収まった Fedora のスクリーンショットはこんな感じ。

無線 LAN の設定

: 素の ipw2200-1.1.0 は日本国内向けの 11a 周波数設定が旧省令 (J52) のままです。 国際標準 11a (W52・W53) 対応の手順は別途記述しています。

せっかくのモバイルノートなのに LAN ケーブルつないでネットワーク接続してるようじゃつまらないので、 内蔵しているワイヤレス LAN アダプタ Intel PRO/Wireless 2915ABG Network Connection を有効にしましょう。

似たような事例がたくさん公開されている (1) (2) のはさすが Centrino だなぁ。マジョリティの強み。

とりあえずこいつのドライバ ipw2200 (名前がアレですが Intel PRO/Wireless 2200BG Network Connection [11b/g 用カード] との兼用らしい) を落としておく (ちなみに ipw2200-1.1.0.tgz でした)。 よーわからんけど IPW2200 binary firmware image (ipw2200-fw-2.4.tgz) と ieee80211 subsystem (ieee80211-1.1.12.tgz) も落としておいた (いい加減だなぁ)。

何はともあれ、落としてきたアーカイブを展開します。

$ tar xvf ipw2200-1.1.0.tgz
$ tar xvf ipw2200-fw-2.4.tgz ← カレントディレクトリに散らかるので注意
$ tar xvf ieee80211-1.1.12.tgz

まずファームウェアイメージを配置してしまいましょう。

$ su
# mkdir /lib/firmware
# cp *.fw /lib/firmware

次に、ieee80211 subsystem をインストール (これ必要だったんですかね ? どなたか教えてください・笑)。

$ cd ieee80211-1.1.12
$ make
$ su
# make install
# exit
$ cd -

最後に、ipw2200 をインストールします。

$ cd ipw2200-1.1.0
$ make
$ su
# make install

この状態で # modprobe ipw2200 すればいいはず。

あとは /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth1keys-eth1 (eth1 の部分は環境によって変化するかも…) を作成して、

ifcfg-eth1

DEVICE=eth1
ONBOOT=yes     ← 起動時に有効化
BOOTPROTO=dhcp ← DHCPを用いる設定
TYPE=Wireless
ESSID=無線APのESSID
CHANNEL=無線APのチャンネル

keys-eth1 (パーミッションは root 以外読めないように)

KEY="s:無線APのWEPキー文字列"

または

KEY=無線APのWEPキー16進数表現

を書いて保存し、# ifup eth1 と打って接続が確立すれば成功、のはず。

WPA を用いた無線 LAN アクセスには別途追加ソフトウェアが必要な模様…ああめんどくさ。